やがて哀しき旅行人
あけましておめでとうございます。をミャンマーで迎えました。
えーと、突然ですが毒吐きます。
ミャンマーの人々はみんなすばらしくて、子どもはみんなかわいくて心が洗われました。的な感想、どうなんですか? 日本の子どもも十分かわいいです。日本人も他の外国のひとも自分に良くしてくれるひとはすばらしいって思います。
そもそも海外とか行ったひとすごいんですか? 旅行に慣れているひとにこれを言うと(実際に言ったことはありませんが)「いや、すごくないよ。たださ、時間あったし、いろんなとこ行ってみたいじゃん?」って言います。(多分)
要は大したことないよ感をだすわけです。でも、大したことあるだろ! っと思うわけです。じゃなきゃ、海外行ったことを公言しないでくれっと思うわけです。
私は、純粋な(?)海外旅行好きを演じていきたいという思いがあるのですが、趣味は旅行とか言ってしまう自分が嫌いです。
「今までどこ行ったんですか?」って訊かれたときの答えを用意している自分がもっと嫌いです。でも、言ってしまいます。そして、予想どおりの反応を求めてしまいます。
実際大したところ行ってないんですよ。そもそも大したところってどこですか? 韓国もグアムも海外じゃないですか? えっ? もしかして距離ですか? 行き辛さですか? 南アフリカ行こうがブラジル行こうがエンジェルフォール見に行こうが関係ありません。ちっともすごくないんです! でもすごいんです!
昨年、インドとミャンマーに行きました。ガンジス川もタージマハルもチャイティヨーもバガンのパゴダもすごかったです。でも、みんな同じすごいっていう感覚なんです。こんな体験しているの自分だけだ!って悦に浸る瞬間もありました。でも、みんなしてますそんな体験。でも、それでも、自分はすごいんだって、そう思いたくてまた海外に行きます。
また、バックパッカー(おっきいリュック背負ってひとり旅してるひと)はツアー嫌います。「ツアー? 決められたところに決められた時間居て楽しいの?」って。楽しいに決まってます! そもそも余計なお世話です。ツアーはツアーで楽しいです。でも、私は基本的にひとりで行きます。ツアーも利用しません。なんで? 目的が自分はすごいんだって、そう思うために行くからです。
っというわけで、昨年インドとミャンマーに行ってきました。
とてもエキサイティングでブラボーな旅でした。すごいでしょ?
ニューデイズ
新年度を迎えましたが、まだ同じ仕事してます。
今年で同じ仕事をして4年経ちますが、最近仕事に慣れてきました。経年劣化って聞きますけど、それです。
同じことの繰り返し繰り返しだと、だんだん鈍感になってきて、いろんなことがなんとかなるさって思えちゃうんだと思うんです。それで、もしなんともならなくても別に平気になってしまい、やばいっ! 大変だっ!とか思えなくなります。これは良くいえば手の抜きどころが分かってくるとも言えますが、悪くいえば完璧主義じゃなくなっちゃったってことだと思います。
お金貰ってるんだから、完璧主義じゃないなんてなんか嫌だなあ。って思うんです。カムバックあの日の緊張感!って思いながらやってきたいと思います。
ミドリムシ
課長が子どもです。
課長はとても子どもなんです。少し慌ただしい日でものんびりネットサーフィンしてたりします。平和です。
で、私が席を少し外して自分のデスクに戻ると、プリントされた女の子のスマイル画像がぴらっと置いてます。なんだろこれ? と、???ってなってるところに空かさず寄ってきて、「これ、AKBの人気ある娘を合成した写真。」っと得意満面に言ってきます。はあ...となりつつ「合成したんですか?」と訊くと、「まさか、そこまで暇じゃないよ。ネットで載ってたんだ。」と。とことん平和です。
それで、先日私が仕事をしていたら、突然課長が「動かないでっ!」と大きな声を出したので、ピタッと止まりました。課内もシーンとしています。すると、課長は私の頭を指差し、楽しそうに「ミドリのムシがくっついてる!」って言います。私はミドリのムシくらいでは動じないので、「あっ、ホントですか? どの辺りですか?」っと、髪を払おうとすると、「動かないでっ!」と、またもやフリーズ命令。
私は、あー忙しいのになーって内心思いつつ、「えーと、なんですか?」と訊くと、「みんな、せっかくだから見にきて!」っと課内のひとを集めるというまさかの暴挙にでました。
課内のひとも仕方ないなーっという感じで、わらわら集まり、私の頭でうねうねしてるであろミドリのムシを観察してました。
私がミドリのムシをティッシュで包み、外に逃がして、戻ると、にんまりとしながら「頭から発生したんじゃないよね?」とおっしゃったので、私は「ひっそり育ててました」と言いました。
あれ、読み返してみたら、なんかパワハラっぽいっ! けど、とことん平和なだけなんです。そして、課長が(少したちの悪い)子どもなだけなんです。
ちっぽけなプライド
正解はなんだったんですか? ってことよくあります。
先日、以前研修会でご一緒した同業の方々との飲み会がありました。
面子は私を含め5人いたんですが、私ともう1名(マツイさん)は他のみなさんより少しだけ先輩でした。
ひとしきり呑んで食べてで、いつのまにかお会計です。
お会計が35462円と。ここまできてお読み頂いている方は察したと思います。そうお会計トラブルです。ただ、単なるお会計トラブルではないんです。
店員さんが伝票を持ってくると同時に「じゃあ皆さん6000円でいいよ」と、仕切り上手のマツイさんは言うんです。
えっ? 6000円ってことは
35462円ー(6000円×4人)=11462円
で、マツイさん11462円も支払うの? と思いつつ、私は6000円を提出すると、「あん? Youは8500円だよ」とマツイさん。
う、うん。知ってた。なぜなら今回の面子の中で最年長は私だからです(マツイさんよりも少し職歴が長い)。
私は「むしろ7500円でいいの?」と言いながら千円札を追加で2枚と500円玉を提出しました。
ここまでは良いんです。フェアだと思います。You呼ばわりされたこと以外は。ただ、ここからややこしいくなってきます。
皆さんから集金を終えたマツイさんは、「あっ 1000円余った! この千円札はがんばって一人暮らししてる君にキャッシュバックだ☆ 」と、チーム6000円のひとりに1000円渡しました。
私は「じゃあ私とマツイさんを7000円にすれば済む話じゃ...」と言いかけながらもよく分からないまま1000円が消え去りました。
マツイさんは余った1000円の片がつくとふらふらっとお手洗いに席を立ちました。
と、ここで店員さんが登場し、お会計をそろそろ...と言うので、私は伝票にお金を挟み手渡しました。すると、店員さんがお札を何度も繰り返しカウントし、カウントする度に顔をしわくちゃっとするではないですか。そして、申し訳なさそうに「あのぅ3462円足りないんですが...」と。
えっ? ちょっとまってよキャッシュバック☆とかしてる場合じゃないよ。足りないよ! 計算間違えてたよ! と、マツイさんに訴えかけようとも、彼はトイレ。
私は仕方なく追加で千円札を4枚提出しました(チーム6000円も仲良くお話していてこの経緯は知りません)。ただ、まあ私はいいかなー...と。いちおう最年長だし、人しれず皆さんより少し多めに支払うのに異存はありませんでした。店員さんもニコッとしてお釣りを取りに行きましたし。
と、そこにマツイさんが颯爽と現れ「お会計済んだ? お釣りもがんばって一人暮らししてる君にキャッシュバックだ☆」と言うではないですか。
「えっ?」
ちょっと待って。それって、ただ貢いでるだけじゃん。さっきの1000円は良い。一度手に渡ったものを返してなんて言いません。しかも、いちおう余っているって認識だったしぎりぎり納得できます。ただ、全てが明らかになった今、これでお釣りまで渡したら、単なるお金あげる人じゃん。相手は一人暮らしがんばってるかもしれませんが、こっちもがんばって生きてるし! むしろ一人暮らしだし!とかなんとかかんがえているうちに、店員さんがお釣りの538円を握りしめ、私に手渡しました。
私は迷わずお釣りの所有権を主張しようとしました。ただ、はっと気付いたんです。ここで、お釣りの所有権を主張したら私だけ多めに支払ったことが明らかになります。でも、それは本意ではないんですよ。いちおう最年長だし、まあそれくらいは人しれず対応するくらいの度量の広さ(?)とこんな内容をここに書いてる時点で十分度量狭いっていう自覚も持ち合わせています。
平穏をとるかプライドをとるか。
マツイさん「さあさあ! お釣りもあげろYO☆」
私「あのぅ...実はさっき足りなかったみたいで。せめて、お釣りは...ねっ☆」
マツイさん「...... ?」
私「ねっ☆」
マツイさん「あー! そうだったんですか? すみません。計算間違えてました? 本当に申し訳ないです。差額払います!」
マツイさんは本当に申し訳なさそうに平身低頭でした。なぜか急に敬語だし。
あっ、選択ミスだっ! と思ったときにはすでに遅く。もうマツイさんから1000円受け取っていました。
538円のプライド。いや違います。これは金額じゃないんだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。
そうだ。この538円はこの先ずっと財布にいれておいて、時折り差しかかる人生の分岐点で自分を戒めるときに取り出そう。自分はプライドだけは捨ててないんだ...って。
と、思いながらも、帰りに本屋でHUNTER×HUNTERの最新巻を購入して、私のプライドは118円になりましたとさ。
青春欠乏症
病に冒されています。
青春欠乏症です。
先日、ある高校の文化祭に行きました。はい、これだけでもう青春欠乏症まるだしです。ちなみにその高校に知ってる方はいないです。でもまだどん引きしないでくださいね。
文化祭は高校生が各クラス毎に演劇を行うという内容のものなんですが、全てがすばらしかったです。
もう出演者の高校生みんなと友だちになりたいと思い、本当に打ち上げだけでもいいから参加させて欲しいって思うほどでした。あっ、まだどん引きしないでくださいよー!
ただ、その反面すこし悔しく思う自分がいました。素直にすばらしいっ!って拍手できなかったんです。なんだかいいなーいいなーってずっと思ってました。
そこで、どうしてこんなにひねくれちゃったかなぁって考えていたら悲しい事実に思い当たりました。それは、私自身に全くそういった経験がないからです。「そういった」というのは、青春ってことにしてください。
ちなみに、ここでいう青春はみんなで頑張ってひとつのものを作り上げる経験のことです。
十代〜社会にでるまでにこの経験がない私は、青春を謳歌している方々を素直に賞賛できないんだと思います。ホントみんなまぶしくて直視できません。
そこで、青春欠乏症の症状を軽減させるためにクリアするべく条件を考えてみました。
① 最低一ヶ月以上準備が必要な大きな目標に集団で臨んでください。ちなみに集団の1/3は異性であること。また、集団は5人以上構成が望ましいです。
② 集団のみんなが一丸となってがんばっていないとNGです。
③ 結果として得た成果物を不特定多数に評価してもらわないとまたもやNGです。でないと自己満足で終わっちゃいますもんね。
④ 全部終わったあとの打ち上げは必須!
なにいきなり? どん引きなんですけどって思われた方がいたらごめんなさい。もはやどん引きして頂いて結構です。あなたが正しいです。
上記①〜④の経験をしないまま大人になった方々は、社会に出てからは忙しいし、そんな経験できないという方がほとんどかと思います。もちろんジョブの中で集団でひとつの目標に向かってがんばっている方もいるかと思いますけど、ジョブじゃなんだか物足りないですよねえ。
で、散々だらだら書いてきましたが、やっぱりネックは③なわけですよ。身内の悪ふざけに付き合ってくれる方はなかなかいないわけで。
そこで、私が見つけた解決策は、友だちみんなと欽ちゃんの仮装大賞に出場することです。そう、これで全ての条件が満たされます。ただ、青春欠乏症の方ってそもそも友だち少ないんですよね。
もう病を抱えたまま生きてきましょう。
次回までに青春欠乏症とうまく付き合っていく方法考えときます。
自転車にんげん
先日、図書館まで自転車で行きました。
仕事を始めてから、さっぱり乗る機会が減った自転車ですが、やっぱりいいですよね、自転車。風が心地よいんです。このまま風にのってどこにだって行ける! これが自由なんだ! 私はシャリリリリと回る車輪に身を任せ、ひとときの自由を噛み締めていました。
ただ、私は忘れていました。自転車は爽快感を与えてくれるのと同時に、小さな不安をもたらすことを。
前に小さな子連れのお母さんが歩いていました。私はなぜか反射的に、気付かれないように、こっそりと追い抜こうと試みました。そう、なにか嫌な予感がしたのです。ですが、そこは子連れのお母さんです。いとも簡単に捕捉され、言われました。あの言葉を。
「ゆう君! 自転車っ!!」
ゆう君はパッとこちらを振り返ると、ただの自転車を見る目つきで私を一瞥し、そそくさと離れて行きました。私はゆう君の目も見られないままに小さく会釈して、その場をしのぎました。
そうです。これです。この感じ。あれ? 私はなんなんですか? 自転車なんですか? いいえ私は自転車に乗ってるにんげんです。
「私は自転車じゃないっ!」
気付くと私はひとり雑踏の中、空を見上げ声を張り上げていました。自転車に跨ったまま。
ふと足下を見ると、仮面ライダーがプリントされているハンカチが落ちていました。
私はそれを拾い、ゆう君のもとに急いでペダルをこぎました。
ゆう君とお母さんの背中はすぐに見え、私は自ら声をかけました。
「すみません、ハンカチ、落ちてました。」
するとふたりはくるっと振り返り、ハンカチを一瞥し「違いますけど?」と不快そうに言い、立ち去って行きました。
私は自転車に跨ったままその場に立ちずさみ、仮面ライダーがプリントされているハンカチを眺め、ふと、仮面ライダーもバイクで走っていて、子連れのお母さんに「ゆう君! バイク!!」って言われたことあるのかなーっと思う夢をみました。まさかの夢オチ。
でも、自転車乗ってるときに、歩行者の方に「自転車っ!」って言われると心がざわってします。