VS 鼻の掃除人

小学生の頃、常に鼻の穴を指で掃除している同級生の三田村君(仮名)がいました。


ある日、三田村君がいつもどおり鼻の穴を掃除したうえで、掃除仕立てのその指で右高さん(仮名)の肩にサッと触れたのを目撃した私は、「あっ 今、きたないことした!」と憤りました。

そして、意気揚々と被害者である右高さんにつげ口しました。

「ねえねえ、今、三田村、鼻の穴ほじった指で右高さんの肩たたいたよ!」

私は、「しめしめ。右高さんはさぞ怒るだろう。なんなら報告した私に感謝するかもしれない」とにんまりしていました。三田村君のことはあまり好きではなかったので、一石二鳥だと。

すると、それを聞いた右高さんは表情ひとつ変えず、ひと言「だから?」とだけ言い、プイッとして友達と話し始めてしまいました。


あれれ? 全く意に介していない...!?


期待外れの私は我に返り、なんだかひとりで騒いで馬鹿みたいと思ったものの、今さら引くに引けず、 悔しくなり、私自身はなんの被害も受けていないにも関わらず、ひとりで鼻の掃除人(三田村君)を非難し続けました。


つまり要はこういうことなんだと思います。


起きた事態に対して、当事者がどのように思っているかは置いておいて、周りの全く関係のない人間が殊更に騒ぎ立て、事態をややこしくする事例はいっぱいあると思うんです。

代表的な事例としては、山賊にお酒をブチまけられたシャンクスとそれに憤ったルフィが挙げられます。あの場合ルフィが殊更に騒いだ結果、シャンクスは腕を失いました(ONE PIECE 1巻参照)。


だから、オトナになった今だからこそ、右高さんのように「だから?」で済ませる精神性を見習うべきだと思うんです。